コミュニケーション
コミュニケーションの定義
社会生活を営む人間の間で、送り手から受け手へと、言語記号や非言語記号によって知識や感情、思考などの情報が伝達、異動する過程が定義となります。生物学的には、動物個体間での、身振りや音声、匂いなどによる情報の伝達をあらわします。
コミュニケーションの仕組みは5つの基本的構成要素から成り立つ
①送り手:感情、意思、思考、知識
送り手の頭の中に浮かんだ伝えたい事柄を、言語や非言語の記号を使って表現します。事柄を言語や非言語の記号に置き換える作業を記号化(encoding)といいます。
②メッセージ:言葉、表情、ジェスチャー、鳴き声、分泌物質
送り手によって発信された言語記号や非言語記号の集合体(情報)のことになります。
③チャンネル
受信に必要な感覚器官(伝達経路)。潜在的受け手となる人の感覚器官がメッセージの受信に役立たない状態であれば、メッセージは伝達されません。
④受け手
メッセージ事体に意味があるのではなく、記号の集合体であるメッセージから意味を読み取る受け手の頭の中に初めて意味が生じます。意味を読み取る作業を記号解読(decoding)といいます。
⑤効果
コミュニケーションが行われた場合には、受け手には必ず何らかの影響が生じます。この影響には外部から観察可能な行動へhかだけでなく、外部から観察が不可能な心理的変化も含まれます。
コミュニケーションの6つの基本原理
①送り手、受け手、メッセージ、チャンネル、効果といった構成要素から成り立つ相互行為の過程になります。
②意識レベルと無意識レベルの両方から成立します。主に言語的行動が意識レベルのコミュニケーションに、非言語的行動が無意識レベルのコミュニケーションに関係します。
③不可逆的である。送り手が発信したメッセージが受け手に受信されると、そのメッセージはもとに戻すことができないことになります。仮に訂正したとしても、それは新しいメッセージとなります。
④動的である。コミュニケーションは、静止した静的状態ではなく、常に変化しつつある動的状態になります。
⑤組織的である。コミュニケーションには構成要素、場の物理的性質、社会的性質が有機的に関連しあい、組織的に作用します。
⑥適応の性質をもつ。コミュニケーションの当事者が、構成要因や条件に適した、よりよいコミュニケーションをもとうとします。
コミュニケーションの機能
コミュニケーションとは「送り手と受け手がお互いに考え方や感じ方を伝え合うという」意味と考え、根源的な機能として「意味を伝達する役割をもっている」と考えられます。
そして、この根源的機能から派生する3つの基本的な役割を一次機能と呼んでいます。
基本的な役割をする一次機能の3つとは、意味伝達機能にもとづき様々な情報を授受すること(情報機能)、他者へ影響を与えること(影響機能)、お互いに相互作用を楽しむこと(娯楽機能)が可能となるということになります。
さらにこの一次機能から生じる情報機能と影響機能は、自己理解を含む人間理解度を深め(自己成長機能)、娯楽機能もあいまって人間関係が形成される(人間関係成長機能)、すべての機能は課題解決を可能にする(課題解決機能)といった効果のことを二次機能と呼んでいます。
コミュニケーションは、こうして根源的機能を中心に一次機能と二次機能がバウムクーヘンのように取り囲み、それぞれの効果や役割を発揮しています。
コミュニケーションの分類基準は以下の通りになります。
①メッセージの伝達方向
(1)一方向コミュニケーション
(2)双方向コミュニケーション
②メディア(媒介)の介在
(1)対面的コミュニケーション
(2)媒介的コミュニケーション
③役割関係の反映
(1)公的コミュニケーション
(2)私的コミュニケーション
コミュニケーションの多次元的類型化
上記の分類基準①、②、③のそれぞれを組み合わせた実例が以下になります。
組み合わせ :実例
対面的・公的・一方向的:上司から部下への指示・命令の口頭伝達
対面的・公的・双方向的:委員会等における討議
対面的・私的・一方向的:旅行体験談、老人のむかし話、流伝の伝搬
対面的・私的・双方向的:同一の趣味や仕事を持つ仲間で行う企画の相談、共通体験の思い出話
媒介的・公的・一方向的:マス・コミュニケーション(特定多数の大衆(マス)に大量の情報を伝達するこ
と)、指示・命令の文書伝達
媒介的・公的・双方向的:取引契約書、外交文書、公文書など
媒介的・私的・一方向的:新聞の読者欄への投稿、行方不明の飼い猫探しのビラなど
媒介的・私的・双方向的:電話、メール等による打ち合わせ、同人雑誌、ミニ・コミ(特定の限られた範囲を対
象として行われる情報の伝達方式)など