大人の発達障害

~発達障害の方の特性~(ADHD:注意欠陥多動性障害)
いわゆるADHDという方々の小児期の症状は
「不注意・忘れっぽい・じっとできない」が主に目立ちますが
たいていは成長とともに薄れていくケースもあります。
しかし成人になっても、その40~80%の方において症状が
継続するとも言われ男女の比率は男子に多いです。
また海外の調査では、このようなケース「大人のADHD」が成人の2~7%いるとの報告もあります。

<主な症状として>
1 行動・感情のコントロールが難しい
2 情報を分析・統合、吟味する時間が非常に短く、感情に直結してしまう
3 一時的に記憶をメモしておく作業台が狭いために、記憶が上書きされる
4 しなければならないことはわかっているのに、それができない
  (片付けられない人、ギリギリにならないと取り掛かれない人)
5 集中してしまうと他に注意を向けることが困難な人(過集中)の人もいます。

<上記によって起こる問題行動(トラブル)>
◆感情のコントロールが苦手で刺激に反応しやすく
 感情を爆発させやすい人たちと、感情を抑えこんでしまう人たちがいます。
 二次的にうつや引きこもりなどの気分障害を併発しやすいのはこのためです(1について)

◆環境への適応が悪い 新しい場面や人、急な予測不可能な変更などの変化に
 臨機応変に適応することがうまくできません。
 自分のやっていることを途中で妨げられることも苦手です。
 規則性や秩序を極端に重んじる場合もあります(3、4について )

◆その他に人とのかかわりが苦手で 対人距離がつかめない
 (極端に近づき過ぎたり、よそよそしくする)
 人の表情やTPOをつかみにくく話が一方的になる。
 言葉を文字通りに受けとり、言外に含まれる意味を汲み取れない。
 自分の思いや感情、考えなどを適切に表現することも苦手です。
 ものごとの細かい部分に着目してしまうことが多いので、
 あいまいさが苦手で0か100、白か黒など物事に例外があることが受けいれられない。
 物事を相対的・体系的に見ることが苦手です。
 自分なりの思い込みで判断してしまう傾向があるので、混乱してしまう。

~特色を生かした職業とは~
アメリカの調査によると、アスペルガーを含む発達障害者の離職理由の8割以上は
周囲とのコミュニケ-ションが原因であったというデータがあります。
逆に仕事に関しては、視覚化するような工夫したり
一目瞭然にマニュアルで提示するようにすると本人には非常に分かりやすくなります。
また現状として精神科医の神尾陽子さんが全国2万人を対象に
広汎性発達障害の傾向があるかどうかを調査した結果
10%以上の人に強い特性(発達障害)があることが分かりました。
今後、社会がアメリカ型になっていくにつれ複雑化し
メンタル的な問題が益々、増加していくことが考えられます。
企業でできる対応は?
まず、発達障害の特性を理解することです。
そして発達障害に色々な特性があります。
更に個々の発達障害の方、いわゆる当事者の特性を理解することです。
次に、その当事者の方々が抱えている問題を把握し
どんなサポートが必要かを周りが模索すること。
短所ではなく得意なところを見つけて、仕事に生かし伸ばしていくことです。
例えば、ある会社では、発達障害者の特性のうちの1つの
「その場の空気が読めない」ことを生かすことにより成功した例があります。
それは、周りの状況がわからず忙しい時でも、その当事者のスタッフに話しかけたり
確認することをしていた発達障害者のそれを強みと評価し
エンジニアたちのスケジュール管理を任せ、作業の進捗状況を細かくチェックし
あやふやなところがあればすぐに質問をすることで作業効率が高まりました。
更に、こういった細やかな取り組みは、社内の情報共有の改善につながりました。
またある会社では発達障害を持つ社員に細かいデータの集計や
資料のチェックをする作業に従事するようにした結果
人一倍の集中力でミスを見つけ、ほかの社員よりも短時間でまとめ上げるという
得意な才能が生かされ、作業の効率化に至るという強みに変わりました。

多くの発達障害の方々は周囲の人の知識不足により人間関係で困難さを持ち
小学校、中学校、高校、いじめに遭ったり、学校に行かなかったり
いろんな状況が本人の問題じゃなく、環境との相互作用の中で生きづらくなり
それが重なり何らかのトラウマ的な要素になり
最悪な事態では社会に対しての恨みとなり事件性の強いものになることもあります。

しかし最近では病院で診断されることによって初めて原因がわかり
精神的な負担が軽減する方も多いです。
生きづらさの原因が「発達障害」であるということが判明し
自分の性格が悪い事が原因ではないと判明すると
初めてその対処法が模索できるのです。
こういった理由から、周りが早目に気づき病院へ促すことがとても大切です。
そういったことも含め、私たちも発達障害のきちんとした知識が必要なのです。


投稿日: 2015年7月30日 | カテゴリー: 精神症状
  • 昭和47年日本大学医学部卒業
    【専門分野】麻酔科、痛みの制御に関する基礎的・臨床的研究
    麻酔科医として勤務後、講師、助教授、教授と歴任し
    駿河台日本大学病院院長(平成23年10月まで)
    現在は日本大学総合科学研究所教授
    【その他経歴】
    日本ペインクリニック学会 代表理事
    日本慢性疼痛学会 理事長
    日本麻酔科学会 名誉会員
    日本疼痛学会 理事
    日本レーザー治療学会 理事
    日本臨床麻酔学会 理事
  • 順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター
    麻酔科学・ペインクリニック講座 教授
    【専門分野】
    ペインクリニック、癌性疼痛管理、術後疼痛管理、心臓血管系麻酔、脳神経麻酔、救急医学、ショックアナフィラキシーの病態機序、敗血症性ショック
  • 国立大学法人旭川医科大学医学部医学科卒
    ・精神保健指定医
    ・心療内科医
    ・精神科医