非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、言葉以外の手段によるコミュニケーションのことをいいます。
これに対し、言語コミュニケーションとは「言葉」を使ったコミュニケーションの全てを対象としていますが、必ずしも音声を伴っている必要はありません。
例えば手話や、という書記言語を用いたコミュニケーションも言語コミュニケーションにあてはまります。
ただし、反対に手話や筆談の場合でも、例えば「手話がたどたどしいことから相手へ持った印象」や「字が汚いということや、字が丁寧なことからくるイメージ」などは、非言語のメッセージとなります。普通の言葉を使った会話であっても、それが発せられる口調や強さ、声の高さ、言い淀み、発するときの表情によって伝わる内容は異なる可能性があり、それらはパラ言語と呼ばれる非言語コミュニケーションの一部とされます。

人間はメッセージ―を伝達しあう方法として複数の非言語的手がかりを使っています。これを「非言語的コミュニケーション」(nonverbal communication ノンバーバル・コミュニケーション)といいます。
意識的に用いている時もあれば、無意識的に用いているときもあるようです。
人と人とのコミュニケーションを行う時には、言葉を使ってお互いの感情や意思を伝え合うことももちろん重要ですが、言葉よりも顔の表情や視線、身振り手振りなどの方が、実はより重要な役割を担っているいることもあります。

例えば、①身体動作では、身振り(ジェスチャー)、身体の姿勢と向き、顔面表情、凝視や視線の一致(アイ・コンタクト)といった目の使い方を中心とする顔面表情が最も有力な非言語コミュニケーションの手段や、②空間行動という、対人距離、個人空間(パーソナル・スペース)、座席行動、③身体接触という、触れる、叩く、抱く、撫でるなどの行動、④準言語(パラ・ランゲージ)といった、声の大きさ、話す速度、間のとり方、沈黙など、言語に付随する非言語要素などの種類があります。
身振りなどの非言語コミュニケーションの多くは文化によって異なるケースがありますが、人間の基礎的な感情である怒り、失望、恐怖、喜び、感動、驚きなどに対する表情は普遍的なものとされています。非言語コミュニケーションを最初に研究対象としたのはチャールズ・ダーウィンの『人及び動物の表情について』(1872)とされており、以来非常に多岐にわたる研究がなされています。

非言語コミュニケーションスキルの特徴
非言語コミュニケーションは、意識的にコントロールすることが難しいといわれています。
言語コミュニケーションはタテマエを表現している、非言語コミュニケーションは本音を漏らしているといわれ、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの意味が異なる場合を二重束縛的コミュニケーションといわれます。
非言語コミュニケーションの持つ意味は、状況や文脈によって異なり、抽象的な情報や論理的な情報を伝達するのには適していないといわれてます。
これに対し、感情や態度の伝達に対しては有効性があり優れているといわれ、感謝の気持ちや愛情表現、憎悪や恨みなどの感情は、その表情や身体の姿勢によって一瞬の内に伝える事ができると考えられています。

非言語的行動の活用
非言語的行動を知るということは、相手の内的状況を知る手がかりとなります。
また、相手に自分の意図する影響や印象を与える事が可能となります。

知っておくと活用できる2つ
①身体姿勢が表すこころの状態
1.会話への興味(イスに座っている場合)
会話に興味があるときには、上体を傾ける、両足を後ろに引くという行動になります。逆に、興味がないときには、頭を下げる、片方に頭を傾ける、片手で頭を刺さる、顔をそむける、イスの後ろの部分にもたれかかる、両足を伸ばすといった行動になります。
2.好悪感情
嫌いな相手に対しては、手を腰に当てて肘を張ったり、横向きになったり、横にもたれたりします。
3.力関係(地位関係)
高地位者は、頭をあげる、後ろや横にもたれる、足を組む、足を伸ばす、腕を組むなどたるんだような、また、ゆるんだ態度をとります。

②主張や説得の場面に活かす
1.空間行動
相手に近づく動きをし、対人距離(軽く両腕を広げた位の距離)をとるようにします。
2.身体動作
身体の位置を相手の正面、又は斜め前に位置するようにします。
基本的に相手に身体を向け、リラックスしつつ軽い前傾姿勢をとります。
顔の表情は無理をせず、話の内容にそった表情をするようにし、聴き手の時は相手の顔から視線を外さずに、話し手の時には話の切れ目で相手を見るようにします。
聴き手の時は手を動かしたり余分な動きはしないようにし、話し手の時には滑らかに動かすようにします。


投稿日: 2021年3月3日 | カテゴリー: 心理学用語